Emacsの画面の構成は独特な部分がある。
WindowsやMac, Linuxがそれぞれの文化で進化していったように、Emacsも独自に進化したのだ。
Emacsを学ぶ、使う上で画面の構成を知っておくことは重要だ。
検索するときや誰か(AI含む)に尋ねるときに意思疎通がしやすくなるだろう。

Emacsには2種類の起動方法があり、ここではその2つをGUI版とCUI版と呼ぼう。
GUI版はアプリケーションごとにウィンドウが分かれているもの。
GUI版の画面はこちら。


CUI版はテキストしか扱えないCUI(例えばlinuxではstartxする前やsshコマンドで接続した後の状態)で起動した場合や、
emacs -nw で起動した場合のものである。
CUI版の画面はこちら。


GUI版は画像が表示されているが、CUI版はテキストのみの表示になっている。

画像の表示など、できることはGUI版のほうが多いのでGUI版が起動できる状態であれば
GUI版を使うのがおすすめ。

構成要素

画面の構成要素はGUI版とCUI版で大きな違いは無い。
GUI版にはマウスで操作できるツールバーがある。

  • GUI版


  • CUI版


なお、上の画面でメニューバーからエコーエリアまでの領域をEmacsではフレームと呼ぶ。
Emacsの"ウィンドウ"は上記の画面の場所(メニューバーとエコーエリアに挟まれた領域)を指しており、
一般的なウィンドウとは異なることに注意。

領域 一般的な呼び方 Emacsでの呼び方
アプリが専有している描画領域 Windows(クライアント領域)<br>macOS(コンテンツビュー) フレーム
上記にタイトルバーがついたもの ウィンドウ 特になし
編集対象(文章や画像)を表示する領域 特になし(アプリによる) ウィンドウ

編集対象(文章や画像)が格納されているものはバッファと呼び、ウィンドウはその一部または全部を表示する領域である。

  • エコーエリア
    Emacsからのメッセージを表示したり、Emacsからの問い合わせに対して入力する場所。
    Windowsでいうメッセージボックスに近い使い方。
    フレームの一番下にある。
  • モードライン
    様々な情報を表示する場所。
    未保存状態や今の編集モード、現在の行数など。
    ウィンドウの一番下にある。

Emacsは1つのフレームに複数のウィンドウを表示することができる。
下の画面は上下に二分割した後、さらに上の画面を左右に二分割して3つのウィンドウがある状態。
今回はウィンドウを分割する操作については説明しない。


つまり下のような状態だ。

この場合、各ウィンドウの最下部にそれぞれ別のモードラインがあることに注目。
メニューバーやツールバー、エコーエリアは1つのままだ。

ウィンドウが複数ある場合は必ずどこか1つのウィンドウが選択状態になっており、
そのウィンドウで扱っているバッファをカレントバッファと呼ぶ。
選択されたウィンドウはモードラインの色が変わったり、カーソルが点滅していたりするので
見た目でわかるはずだ。

以上でEmacsのおおまかな画面の構成要素の説明おわり。
次回はモードラインの説明をする予定。

動作環境

Emacs 30.2

参考

Emacs公式マニュアル